整骨院とはどんな病院か
整骨院とは、「柔道整復師」という国家資格を持つ方が施術を行う場所です。
聞き慣れない「柔道整復」とは、もともと柔術の活法から生まれた日本の伝統医療であり、現在では、西洋医学との融合も見られ、2002年には WHO (世界保健機構) で「Judotherapist」として 認知されたことで、国際的にもその効果が知られています。
整骨院では、柔道整復師によって、骨・関節・筋・腱・靭帯などに加わる外傷性が明らかな原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷に対し、手術をせず、「整復」「固定」「後療法」という3つの施術を行うことで、自然治癒力を高めて、これらの損傷を治すことを目的としています。
文字は異なりますが、接骨院や整骨院も同じ厚生労働大臣免許の柔道整復師の資格を持つ方が施術しており、大きな違いはないと考えてよいでしょう。
整骨院と整形外科の違いについては、どちらも関節や筋肉について治療する場所ではありますが、整形外科では医師の診察と投薬がメインであるのに対し、整骨院では手法による施術がメインであるという部分にあります。
整骨院は、医療機関ではないため、レントゲンなどの検査や薬の処方などは行うことができないという特徴があるので、その目的に合わせてどちらの機関が適切か判断することをお勧めします。また、整体院・カイロプロテックには開業するのに国家資格が必要なく、すべて健康保険適用外の治療となります。
反対に、整骨院では保険治療を行うことができます。
ただし、整骨院では、急性のけがの場合のみ健康保険の適用内です。
急性のけがとは、ぎっくり腰や肉離れなどのことで、日常生活における肩こりや腰痛は慢性疾患という扱いになってしまい、健康保険の利用はできないとされています。
整骨院にいる医師(資格)
整骨院では、厚生労働大臣免許の「柔道整復師」の資格を持つ方が開業しています。
「接骨師」や「ほねつぎ」と呼ばれることも多い「柔道整復師」は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などの損傷からの回復を助ける専門家です。
柔道整復師の活躍の場は、整骨院だけではなく、整形外科やスポーツトレーナー、介護の現場など様々です。
高齢者リハビリテーションには欠かせない「機能訓練指導員」としても働くことができる資格です。
理学療法士との違いは、自ら開業できることと、骨折・脱臼の患部以外であれば、施術を医師の指示なしに行なうことが可能であることで、骨折・脱臼については、応急処置のみ例外的に認められています。(柔道整復師法より)
一方、理学療法士は医師の指示が必要で自ら判断することは認められていません。
しかし、現在、柔道整復師になるのは難しいと言われています。柔道整復師になるには、高校卒業後に文部科学省指定の大学の柔道整復師関連学部や厚生労働省指定の養成施設を卒業したのち、柔道整復師国家試験を受験し、合格する必要があります。
最低でも3年は養成施設に通うことが義務付けられています。養成施設では解剖学や生物学、運動学などの基礎科目に加え、柔道整復やリハビリテーション学などの臨床について幅広く学びますが、柔道整復師は柔道に基づいた技術であるため、柔道についての知識も必要です。
令和3年度の柔道整復師国家試験の受験者数は4,561人、合格率が66.0%で、あん摩マッサージ指圧師の合格率が84.1%であることを考えると難易度は高いと言えます。
急性腰痛も整骨院が向いている
突如、腰に激しい痛みが現れ、欧米では「魔女の一撃」とも呼ばれるぎっくり腰は、急性腰痛症の俗称です。
ぎっくり腰になった場合は、治療院(整形外科あるいは整骨院)に行くようにしましょう。
では、整形外科と整骨院、どちらに行くべきかという問題ですが、整形外科では、医師によって診断、レントゲンなどの検査、薬の処方が行われます。原因がわからない場合には椎間板ヘルニア等を発症している場合も考えられますので、医師による検査、診断、薬の処方をしてもらうのが良いと考えられます。
ただ、多くの整形外科では、痛み止めによる痛みの緩和などには向いていますが、根本的な腰痛の解決にはならないことがほとんどです。
レントゲンでははっきりとわからないような、身体のずれや歪みによって痛みが出ている場合やけがの再発防止や予防を望む際には、筋肉と骨格のバランスを整える整骨院での治療による効果が期待できます。
また、なるべく手術を行いたくない、薬なしで痛みをなくしたい、など患者様のニーズに合わせて考えた場合、整骨院の方が適切な場合もございます。
そのほかにも、整形外科に比べ、整骨院の方が夜遅くまで開いていることが比較的多く、待ち時間が少ないことや、手法による治療で、柔道整復師の方にマンツーマンで、時間をかけてじっくり体の状態を見てもらえるという利点もあります。
急性のけがの場合は、整骨院での治療も医療保険の適用内ですので、整形外科、整骨院それぞれの特徴をご覧になり、上手に活用していただけたらと思います。