整体院に行く前に知っておくべき5つの内容

トリガーポイントとは

筋肉

英語で「引き金」という意味の「トリガー」と「点」という意味の「ポイント」を合わせて作られた単語であるトリガーポイントは、日本では古くから「発痛点」と呼ばれてきました。

 

ではそのトリガーポイントとは何なのでしょうか。
実は、人の身体の中には、外界からの刺激や組織の刺激を痛みと感じる機能である「侵害受容器」というものが存在します。わかりやすく言うと、痛みを感じるセンサーのような働きをしています。

 

皮膚表面だけでなく、身体の中、筋肉(筋膜)などにも備わっているこの侵害受容器が過敏になった部位がトリガーポイントです。

 

トリガーポイントは私たちに身近な腰痛や肩こり、ひざの痛みから椎間板ヘルニア、変形性関節症など大きな病気にまで関わっています。また、トリガーポイントは遠隔部に痛みを放散させる事もあり、この現象を関連痛と呼びますが、そうした症状のほかにも感覚鈍麻や発汗、めまいなどの自律神経症状を引き起こす場合もあります。

 

特に、筋肉が骨に付着する部分や、筋肉と筋肉が連結する部位、筋肉が腱に移行する部分にトリガーポイントができやすいとされており、長時間同じ姿勢でいることや同じ筋肉の使いすぎが原因だと考えられています。


どんな病気でトリガーポイントが発生するのか

トリガーポイントが関係する症状の多くは、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)だと言われています。
筋・筋膜性疼痛症候群は、四肢・腰部・頚部関節の痛み、偏頭痛、顎関節症、無菌性膀胱炎、生理痛など様々な症状を引き起こすことから、私たちになじみの深い、腰痛・肩こり・頭痛もこの筋膜症に起因していると考えられます。

 

その痛みやしびれの強さは相当激しく、時間の経過とともに症状の出る部位が移動することもあります。また、筋膜性疼痛症候群は、日本ではあまり知られておらず、一般的に病院で行われるレントゲンやMRIなどの検査では判断できません。
トリガーポイントの生成と同様に、無理な姿勢等により繰り返し筋肉に負荷をかけることや、血行の悪い状態が続くことで負荷がかかりすぎた筋膜が短期間で自己回復できないことが主な原因です。

 

そのほかトリガーポイントに関連した症状や疾患は例えば、臓器の機能障害では胃炎、食欲不振、便秘、下痢、耳鳴り、眼精疲労、神経系の症状では不眠、めまい、自律神経失調症、神経痛などが挙げられます。さらには、更年期障害、冷え性、免疫力の低下にもトリガーポイントが原因である可能性が示唆されています。

どうやってトリガーポイントを治療するのか

まず、トリガーポイントが関係する症状の場合、その原因が一般的な病院で行われるレントゲン、MRI、血液検査等では目に見える結果ではわかりません。
しかし、筋肉を包む膜である筋膜の癒着していることとトリガーポイントが深く関係していると言われていることから、最近ではエコーと呼ばれる超音波画像診断装置を用いて、筋膜の癒着を確認することや、筋肉を収縮させた時に起こる痛み(短縮時痛)を患者様から伝えてもらうことで、トリガーポイントを探ります。

 

トリガーポイントの位置がわかれば、皮膚と筋肉の間に生じている筋膜の癒着した部分に直接鍼を入れて、筋膜の癒着を剥離することで痛みの改善につながるとされています。
鍼を使い、筋膜を直接ピンポイントで刺激することは、一般的なマッサージ等で筋肉を刺激するよりも高い鎮痛効果を期待できます。痛みの根本であるトリガーポイントを治療することで、普通の凝りを解消するよりも高い効果が得やすく、再発もしにくくなります。

 

また、鍼を用いた施術を行うことによって、血流が良くなることで発痛物質と呼ばれる痛みを出している物質を排出しやすくなり、痛みの軽減が期待できます。

トリガーポイントの発生場所リスト

トリガーポイントの実際に存在している場所と痛みが出る場所が異なっている場合も少なくありません。

 

ふくらはぎのヒラメ筋にできたトリガーポイントが原因となり、頬に痛みが出ることもあります。
このようにトリガーポイントの位置と痛みを感じる箇所が異なっている理由はいまだに解明されていないのが実情です。
また、症状によってもトリガーポイントの位置は異なります。

 

例えば、肩こりのトリガーポイントについて紹介します。
肩こりの原因となるトリガーポイントは、僧帽筋や肩甲骨の辺りにある肩甲挙筋に多くが存在しているとされています。僧帽筋にあるトリガーポイントによる関連痛は頭部にも発生する可能性があります。

 

そのほかにも

 

・ハムストリング筋、梨状筋、小殿筋、中殿筋(坐骨神経痛の原因)
・大腰筋(慢性腰痛の原因)
・胸鎖乳突筋(自律神経失調症の原因)
・内側広筋(膝痛の原因)
・大腿直筋、鼠蹊部−大腿骨頭上部(膝関節痛の原因)
・後頭下筋群(大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋、下頭斜筋) 頭板状筋、頭半棘筋、頭最長筋、側頭筋(片頭痛の原因)

 

など様々な筋肉に対応したトリガーポイントが存在します。
それぞれの症状に合うトリガーポイントを刺激することで慢性的な痛みの解消につながると期待されています。