整体院に行く前に知っておくべき5つの内容

交通事故で典型的な症状は「むち打ち症」

交通事故

むち打ち症とは、首がむちのようにしなることから名づけられた頚部外傷の局所症状の総称で、医学的な傷病名ではないため、医師の診察を受けることで「外傷性頚部症候群(頚椎捻挫)」や「神経根症(頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症性神経根症)」、「骨髄損傷」などの診断名がつきます。

 

簡単に説明すると、首に大きな力が急激に、不自然にかかることで起こる首の捻挫です。

 

このむち打ちは交通事故でもっとも多いけがであると言われており、事故の直後に自覚症状がなくても、数時間から数日経って痛みが出てくることもよくあるお話です。

 

また、むち打ち症になり、起こるのは一部の痛みだけではありません。
首の関節の損傷は体の奥にあり痛みを感じにくく、見た目にも表れにくいために、体が異常を知らせる目的で他の部位に症状が出る場合もあります。

 

それが、首回りのほか頭部、腕、指先の麻痺やしびれ、耳鳴り、めまい、吐き気などです。

 

むち打ち症を放置してしまうと、これらの症状が長引くことや、後遺障害が残ってしまうことも考えられます。
数日過ぎてしまうだけでも事故とけがの因果関係が証明しにくくなることから自賠責保険は適応されない可能性があるので、事故直後の痛みや違和感がない場合でも、整形外科を受診してレントゲンやMRIなどの精密検査を受けることをお勧めします。


むち打ち症の治療

むち打ちで主に損傷を受ける首の部分の関節(椎間関節)は、身体の内側にあることで痛みを感じにくく、見た目にも表れにくいです。
しかし、身体は損傷した首の部位を守ろうと、近い場所にある肩の筋肉を固くして、固定します。無理やり動かそうとすると、さらに痛みが出るなど悪化する可能性も考えられることから、初期の段階では、首を固定し、安静にするのが良いとされています。

 

その際、症状に応じて、消炎鎮痛剤や筋弛緩薬、湿布、神経ブロック注射等を使用し、痛みを抑えて和らげます。
一般的には2週間、このまま安静にした後、リハビリテーションを開始できます。整骨院・鍼灸院でもリハビリテーションを行うことができます。
リハビリテーションには大きく分けて2種類あり、それが物理療法と運動療法です。

 

物理療法とは、痛みを和らげるほか、体を動かしやすくするために、温熱、光線(レーザーなど)、電気などの物理的な手段で、体に刺激を与えるものです。
具体的には、

 

牽引療法

首を引っ張り、休めることで椎間孔の拡大、頚椎椎間関節の変形の矯正を行う。

 

温熱療法(ホットパック)

首を温めて、血液の流れを良くすることで、除痛効果が期待できる。

 

電気治療(ハイボルテージ治療・立体動態波・マイクロウェーブなど様々)

筋肉や靭帯を修復し、神経に働きかけて凝り固まった筋肉を緩和する。痛みに即効性がある。

 

一方、運動療法は私たちがイメージするようなリハビリテーションの方法で、ストレッチや筋力トレーニング、可動域訓練などにこれに該当します。
さらに、整骨院では、手法療法と呼ばれる筋肉をほぐすマッサージなどもほかのリハビリテーションと組み合わせて行っています。

 

また、むち打ち症では、軽い症状の場合、2,3か月で完治する場合もありますが、6か月ほどかかることもあります。
後遺症を残さないためにも、早めの施術、継続的な通院が必要です。

自宅での療養(ホームエクササイズ)

2週間後からのお家でできるエクササイズです。

 

頸部前面の皮膚のストレッチ

胸の前に手を当てて、口を開けます。そのまま状態から上の方を向きます。つっぱるような感じがしたら口を閉じて、更に手を下に引くことで皮膚を伸ばしていきます。
筋肉が短縮すれば皮膚の柔軟性も失われるので、筋肉と皮膚は同時にストレッチすることが大切です。皮膚の伸張と胸鎖乳突筋を中心に伸張できるストレッチです。

 

頸部前面の筋のストレッチ

手を鎖骨の上に置いて、頭を逆斜め上に反らせます。
筋肉が短縮すると、柔軟性が失われてしまうので筋肉を伸張させることを目的としたストレッチになります。

 

次に3週間後からのエクササイズです。

 

脊柱のウエービング運動

ベッドやいすに座り、背中を丸めた猫背の状態から開始します。次に大きく息を吸いながら胸を張るように上半身を起こし、姿勢を良くします。そこから同じく息を吐きながら、最初の猫背の姿勢に戻していきます。
この運動の目的は椎体1つ1つの動きを出すことと、自立神経の調節を行うことです。

 

キャットエクササイズ(脊柱起立筋・腹筋のストレッチ)

はじめに、ベッドや床の上で、四つ這いになります。息を吐きながらお腹をへこませるように、背中を丸め10秒ほど保持します。つぎに息を吐きながら胸を床に近づけ背中を反らせます。この状態を10秒ほど保持します。この時、肘は伸ばしたままで腰の位置が変わらないように注意しましょう。
これは背骨を正常な湾曲に戻していくための姿勢改善でよく行われるトレーニングになります。また背骨をしっかり動かすことで背中の柔軟性を出すことを目的としています。